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不正競争防止法について


1.不正競争防止法の概要
1)法律の目的
 第1条で「目的」を次のように規定しています。
「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の適格な実施を確保
するため、不正競争行為の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、
もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」
 不正競争防止法は、不正な競争をした場合、営業上の利益を害された者が、侵害者に
対してそのような行為の差し止め、および損害賠償の請求ができるとするものですが、同
時に消費者の利益を保護する側面や公益的な側面も有するという法律です。
2)「不正競争行為」の定義
 第2条第1項で「不正競争行為」を次のように定義しています。
@ 周知表示混同惹起行為
  他人の商品または営業と混同を生じさせる行為
A 著名表示冒用行為
  他人の著名な商品表示と同一若しくは類似のものを使用する行為
B 商品形態模倣行為
  他人の商品の形態を模倣する行為
C 営業秘密不正行為
  不正の手段等により営業秘密を取得・使用・開示する行為など
D その他、(原産地等誤認惹起行為、営業誹謗行為、商標無断使用行為など)
3)営業秘密としての3つの要件
 営業秘密とは、次の3つの要件を満たしている場合をいいます。
 @ 秘密管理性
   施錠した保管庫に入れてあったり、パスワードによりアクセスが制限されたり、文書
   に「秘密」などと書かれたりして、厳重に管理されていること。
 A 有用性
   当該情報が客観的に有用な情報であること。
 B 非公開性
   当該情報が保有者の管理下以外では、一般的に入手できないこと。
 この3要件が欠けると、営業秘密として保護されません。
4)民事上の措置
 @ 不正競争によって営業上の利益を侵害された者、または侵害されるおそれがある
   者は、その侵害の停止または予防を請求することができる。
 A 故意または過失により、不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、
   これによって生じた損害を賠償する責めに任ず。
 B 裁判所は、その営業の信用を害された者の請求により、その者の営業上の信用を
   回復するのに必要な措置を命ずることができる。
5)刑事上の措置
 @ 次の不正行為を行った者に対して、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰
   金又はこれを併科する。
  ・ 詐欺・窃盗・不正アクセス行為等により取得した営業秘密を不正の目的で使用・開
   示した者
  ・ 現職の役員・従業員であって、不正の目的でその営業秘密の管理に係る任務に 
   背き、その営業秘密を使用・開示した者
  ・ 退職した役員・従業員であって、不正の目的で、その在職中に、その営業秘密の 
   管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、または開示の請託を
   受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、または開示した者
  ・ 不正の目的で、営業秘密を不正に取得してその営業秘密を使用し、又は開示した
   者
 A 次の不正行為を行った者に対して、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
   又はこれを併科する。
  ・ 周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、商品形態模倣行為原産地等誤認 
   惹起行為をした者
 B 不正行為を行った法人の代表者または法人に対して3億円以下の罰金刑を科す。

2.営業秘密の保護と職業選択の自由
 不正競争防止法は、営業秘密の保護を主要な目的とする法律ですが、営業秘密の保
護が退職従業員に対して講じられると、それは職業選択の自由(憲法第22条第1項)と
抵触することになります。退職従業員は、前の企業で取得したノウハウやスキルを活かし
て転職したり、自ら競争企業を設立することが多いからです。営業秘密が知的財産として
法的保護に値することは当然ですが、同時に、職業選択の自由という法律上の価値との
調整が求められることになります。営業秘密はきちんと保護するが、職業選択の自由へ
の影響が生じないように配慮する必要があります。
 退職後の従業員による営業秘密の不正使用・開示に対する法的対抗手段としては、不
正競争防止法、労働契約上の守秘義務および競業避止義務があります。
1)不正競争防止法
 不正競争防止法は、「不正の目的で」営業秘密を使用・開示する行為を定めています。
その趣旨は、従業員が信義則上の守秘義務を負うことを認める点にあり、この結果、従
業員は在職中はもとより、退職後も信義則上当然に守秘義務を負うことになります。営
業秘密を不正の目的で使用・開示する行為が不正競争ですが、その有無は、従業員の
地位・職務・秘密の重要性、使用・開示の態様などの要素を総合して判断されることにな
ります。
2)退職後の守秘義務
 まず、退職後の守秘義務の根拠としては、労働契約終了後の義務であることから、契
約上の明確な根拠(守秘義務契約、秘密管理規定など)が必要となります。一方、守秘
義務の要件は、不正競争防止法上の「営業秘密」より緩やかに解され、その要件を満た
さない秘密やノウハウにもおよぶ義務として設定できるものです。また義務違反の要件と
しても、不正の目的という主観的要件は求められず、秘密等を使用・開示すること自体が
守秘義務違反を構成すると解されます。
3)退職後の競業避止義務
 守秘義務と似て非なる義務が競業避止義務です。守秘義務が営業秘密の侵害のみを
禁止する義務であるのに対し、競業避止義務は、退職従業員の職業活動自体を規制す
る義務であり、職業選択の自由との抵触が高いものです。したがって、ここでは営業秘密
の保護と職業選択の自由との調整が強く要請されるところです。
 まず、競業避止義務の根拠として、明示の合意または就業規則等の明確な根拠が必
要となります。また義務の要件についても、職業選択の自由を考慮して厳格な要件が必
要で、従業員の地位・職務内容、秘密保護の重要性、就業制限の対象職種・期間・地
域、代償の有無などを総合して、競業避止義務の有効性が判断されることになります。
4)不正競争防止法改正による営業秘密の保護強化
 2003年の法改正では、初めて営業秘密について刑事的保護が導入され、在職中に限
定してですが、役員・従業員に対して不正使用・開示罪が導入されました。また今回の法
改正では、対象を限定しつつも、退職後の従業員に対する刑事罰を設けています。
 職業選択の自由との関係では、法律の規制対象がポイントとなります。すなわち、不正
競争防止法は、労働者の競業を対象とする規制ではなく、営業秘密の使用・開示のみを
対象とする規制であり、競業避止義務と比べると、職業選択の自由に対する制約度は低
いと考えられます。


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