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会社法による取締役の義務と責任


  取締役は、取締役会に出席して会社の業務執行に関し意見を述べる権利と義務を有
し、業務執行の決定や監督に関し大きな権限を与えられていますが、同時に会社の業務
が適切に行われるよう注意する義務があります。
 この義務に違反して、会社や第三者に損害を与えると、損害賠償責任を負う場合があ
ります。

◎ 取締役の義務

1.代表取締役の業務執行に対する監督義務
 代表取締役が、取締役会決議に基づかず、独断的に権限を行使する、といったことが
あるかもしれません。この場合、他の取締役は、これを放置することはできません。取締
役は、代表取締役の業務執行を全面的に監督する権限を有しているからです。他の取
締役は、代表取締役の独断的業務執行に対して、取締役会を開き、代表取締役の独断
行為を是正させるようにしなければなりません。
 さらには、 法令又は定款違反行為が、取締役会決議に基づいてなされることがあるか
もしれません。この場合、議案に反対し、かつ、議事録に異議がある旨を記載することが
重要です。それは、違法行為が取締役会決議に基づきなされた場合、決議に賛成した取
締役は任務を怠ったものと推定され、さらには議事録に異議があることを記載していなか
った取締役は、決議に賛成したものと推定され(会社法369条5項)、責任を追及されるこ
とになる場合があるからです(会社法423条3項3号)。

2.忠実義務
 会社法355条は、「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会
社のため忠実にその職務を行わなければならない。」と規定しており、この義務を「忠実
義務」といいます。この忠実義務の一つは、自己又は第三者の利益を優先させて会社の
利益を犠牲にするようなことをしない、ということです。例えば、取締役が他社の取締役と
なること自体は、原則として許されますが、もし他社の仕事に時間と労力を費し、自社の
取締役としての職務に悪影響を及ぼすおそれがあるときは、忠実義務違反となる可能性
があります。

3.競業避止義務
 会社法356条1項は、「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引
につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。」と規定しており、取締
役が会社と競業するような取引を行なう場合を挙げています(会社法356条1項1号)。つ
まり、取締役は、取締役会が設置された会社では取締役会の承認を得なければ、又は、
取締役会が設置されていない会社では株主総会の承認を得なければ、会社と競業する
ような取引を行えないのです。
 この競業には、取締役が、自分で又は他の会社の代表取締役となって取引をするよう
な場合のほか、他の会社の平取締役である場合や、「事実上の主宰者として他の会社を
経営する」ことも含まれます。

4.会社と取締役の取引の規制
 取締役と会社の利益が相反する行為を取締役が行う場合、取締役会の決議が必要で
す(会社法356条1項2号、会社法365条1項)。その一つが、会社と取締役の取引です。例
えば、取締役が会社に自分の商品を売る(その逆も同様)、会社が取締役に金銭を貸し
付ける、といったものです。

5.会社と取締役の利益相反行為の規制
 会社と取締役の取引のほか、一般的に、会社と取締役の間に利益が相反する行為も、
取締役会の決議が必要です(会社法356条1項3号、会社法365条1項)。その例としては、
会社が取締役の債務を保証する、といったことがあります。
 

◎ 取締役の責任

1.取締役の会社に対する責任
 取締役が、その任務を怠ったり、違法行為(例えば、総会屋に対する利益供与をするこ
と、利益がないのに配当することなど)により会社に損害を与えた場合、会社に対して損
害賠償の責任を負うことになります。

2.取締役の第三者に対する責任
 株式会社が第三者に対して負っている債務については、取締役であるからといって、そ
れだけでその取締役が、会社の債務を負うことにはなりません。それは、会社と取締役
は、別個の存在だからです。
ただし、以下のような場合には、取締役が会社の債務を負うことがあります。
(1)取締役が、(連帯)保証している場合
 取締役が(特に多くの場合代表取締役が)、会社の債務につき個人で(連帯)保証して
いることがあり、この場合、取締役が会社の債務について責任を負うことになります。
(2)取締役に職務執行につき故意又は重過失がある場合
 取締役がその職務を行うにあたって故意又は重過失があったときは、その取締役は、
第三者に対して、損害賠償の責任を負う場合があります(会社法429条)。これは、取締
役が貸借対照表、損益計算書、営業報告書等に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記・公
告をしたときも同様の責任です(会社法429条2項1号イ〜ニ)。
 実務上、会社が倒産した場合に、取締役の責任を追及する場合、取締役のこの責任を
根拠とすることがあります。例えば、支払の殆ど不可能な手形を濫発した、粉飾決算をし
ていた、などが問題になることがあります。
 また、この職務執行についての故意又は重過失は、代表取締役ではない取締役の、代
表取締役に対する監督義務違反にもあてはまることがありますので、注意が必要です。



※ 取締役の欠格事由

 会社法331条は、次の場合は取締役になれないとされています。
 @ 成年被後見人又は被保佐人
 A 法人
 B 会社法、証券取引法、破産法その他の一定の法律に定められた罪により刑に処 
   せられ、その執行を終わった日(又は執行を受けることがなくなった日)から2年を 
   経過していない者
  C 上記の法律に定めた罪以外の罪によって禁固以上の刑に処せられ、その執行を 
   終わるまでの者(又はその執行を受けることがなくなるまでの者)。ただし、この場 
   合、刑の執行猶予中の者は含まれない。
 したがって、成年後見を受けたりすると、これらは欠格事由ですから、当然に取締役 
の地位を失うことになります。仮に取締役としての登記が残っていたとしてもこれは無効
の登記となります。なお、改正前の商法では、破産者であることが欠格事由とされていま
したが、会社法になり、欠格事由からは外されました。そのため、破産者であるというだ
けでは取締役を辞任する必要はありません。


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